アキレスがこの草の薬効を教えた
ノコギリはただ葉のギザギザで
作者の言葉
ノコギリソウの花を前に、葉をさわりながら名前の由来を
教えられた幼き日の記憶がよみがえりました。
国境に鋸草などあはれなり 山口 青邨
海の日と谷田に会ふや鋸草 橋本 義憲
鋸草伸びゆく日々を湯治かな 矢数 とり
【万葉歌】 臥ひまろび恋ひは死ぬともいちしろく色には出でじ朝顔が花 (巻10-2274〉
官々愕々 時代遅れの「正義の味方」
今年に入って、世界各地で深刻な国際紛争が生じている。
各地で繰り広げられる激しい戦闘を見ていて気づくのは、
国境を越えていともたやすく武器が拡散している事実だ。
「反政府武装勢力」と呼ばれるグループが、高度な武器を使って急速に
支配地域を広げる現象が見られるが、
それを可能にしたのが、
米
英
仏
ロ、
サウジアラビア、
カタール、
イラン、
中国
などの武器輸出である。
表向きは、
自衛のため、
人道のため
と言うのだが、
本音は単純に自国の利権の維持拡大である。
そこでは、自国の敵の敵は味方、味方の敵は敵という短絡的・短期的な
視点で武器が供与される。
『週刊現代』2014年8月16・23日号
例えば湾岸の親米国であるカタール。
民主国家ではないが、米国石油メジャーの利権を守ってくれるから米国にとっては大切な味方だ。
そこで米国はカタールに武器を供与する。
スンニ派のカタールにとってシーア派は敵だ。
シリアのアサド政権はシーア派。
カタールの敵である。
それと戦うスンニ派の反政府勢力は、
アサドの敵だからカタールの味方だ。
そこで、カタールは、彼らにこっそりと武器を供与した。
ところが、その武器が、アルカイーダの流れを汲むスンニ派武装勢力ISIS(最近「イスラム国」と改称)に流出した。
この武器を使って、「イスラム国」が、今、イラクで猛威を振るい、シーア派のマリキ政権を慌てさせている。
イラクのマリキ政権は米国が作った政権だ。
米国は武器も軍事訓練も供与してきた。
米国のカタールへの武器供与は廻り廻って米国の首を絞めている。
このように、今や、「正義とは何か」がわからなくなっている。
だから、どの国も、地域紛争に軍事介入することに極めて慎重だ。
安倍政権は、武器輸出解禁に当たって、
国際紛争を助長しないように歯止めをかけたと説明した。
しかし、実際には時代遅れの「正義の味方」路線を採っている。
米国は正義で、日本の味方。
だから米国の味方は日本の味方だし、
米国の敵は日本の敵だと考える。
極めて危ない考えだ。
7月17日、安倍政権は国家安全保障会議(NSC)で、
三菱重工業による地対空ミサイル「パトリオット(PAC2)」に使う
部品の対米輸出案件を承認し、
その部品が組み込まれたPAC2完成品のカタールへの輸出まで認めた。
カタールについては「親米国で紛争に使われるリスクは低い」としているが、
要するに、カタールは親米、つまり、米国の味方。
だからカタールは日本の味方、という短絡的な審査で認めたのだ。
しかし、カタールが何をやっているかを考えれば、
明らかに認めてはいけない案件である。
米国の軍需産業は強大な政治力を持っている。
だから、多少のリスクはあっても、
そんな議論は蹴散らかされて、米国政府は危ない橋を渡る。
日本はそれにのこのこと付き合って出て行くのだ。
日本の武器産業は、表向きは「政府の方針に従うだけ」と言いながら、
内心諸手を挙げて喜んでいる。
自民党の国防族ももちろん大喜びだ。
しかし、それ以上に喜んでいるのが武器輸出を所管する経産省。
NSCでの審査のお膳立ても経産省がする。
そこに巨大な利権が生まれ、武器産業への天下りポストも大幅に増えるだろう。
70年かけて築き上げた日本の「平和ブランド」など
彼らには何の関係もない。
経産省は、予算も規制の権限も小さく、
長らくその存在意義が問われてきただけに
「安倍さんは救世主」という声が聞こえる。