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91歳の謦咳

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       コチラにもヨロシクポチッ⇒http://localkyushu.blogmura.com/miyazaki_town 
 チしてくださーーーーーーーいぃ

 
今日の誕生日の花は・・・  モクレン
花言葉は・・・・・・・・自然への愛 恩恵
 
 
モクレン科   
                 NHKラジオ深夜便早朝5時前ー
                 森田美由紀アンカ-教えてくれた作者の言葉
                 「当屋」とは「頭屋」とも書きますが、
                 祭りや神事を司る家です。
                 その庭にある大きな木蓮の木に咲いた花から、
                 祭りに沸く大勢の村人の声が聞こえてくるようです。
  
お祭りの当屋の庭の大モクレン
百千万の声あげにけり     鳥海昭子
 
 
12日21時からNHKスペシャル
「いま集団的自衛権を考える」
 
集団的自衛権の行使容認は必要か否か?
憲法解釈を変更することの是非は?
 
スペシャリストとの説明なんですがァー 
  森本敏 礒崎陽輔,北岡伸一
  柳澤協二 豊下楢彦,宮崎礼壹
 
文字興すのにも余りにも・・・・・
 
防衛大臣も勤めた森本敏の国家論の未来ない血の臭いー
礒崎陽輔にいたっては説明にもなってない「自民党員ですから・・」
北岡伸一ゼミに学ぶものはー国際化時代において、偏狭さで可哀想だァ
 
まぁー戦時下寸前・・
以下の写真でこの国が生きてきた69年
培われた国家観基軸しっかりしたらーー
 
イメージ 1
 
 
 ──この写真はなんだ?──
 
一瞬、パロディの画像かと思ってしまうー
が、
現実に起きていることだ。
 
5日付「東京新聞」1面の特集
「写真のチカラ」──「ショパンと治安部隊」と題した写真である。
 
居並ぶ治安部隊を前にピアノを演奏するのはウクライナ西部リビウ出身のピアニスト、マルキャン・マツェフさん(22)。
ウクライナの首都キエフで昨年12月7日に、反政権デモの最中に撮影された一枚である。
 
マツェフさんは、取材に対して
「平和的なデモを呼び掛けようと思った。
私たちは、治安部隊と戦っているのではなく、
体制と戦っているのです」
ピアノは中古で購入し、友人と一緒にウクライナの伝統色で塗装した。
最初に奏でたのは、ショパンの「ワルツ第七番嬰ハ短調作品64-2」だそうで、
マツェフさんは「あの時、心に浮かんだのがショパンだった。
もう一度弾くなら、ジョン・レノンの『イマジン』を選びます」と述べる。
 
この写真を「東京」紙に紹介した音楽家の坂本龍一さんは
「個性のない、力を象徴する隊列と、たった一人でピアノを弾く生身の人間の対比に、強さを感じた」と言う。
 
最初に写真をインターネットで発信したウクライナ人の一人、アナスタシア・ベリョーザさんは「彼は治安部隊のためにショパンを弾いた。優しさは暴力や残虐な行為を壊すことができる」と、感想をつづった。
 
 
でぇー
「いま集団的自衛権を考える」
大陸で戦火を生き抜いた
 瀬戸内晴美の世相を斬る
      論評のほうが・・・

 極端に右傾化する安倍政権に
  「怖さ」を感じる人は大勢いる。
なかでも戦争を知っている世代ほど
「戦前とそっくりだ」
と警鐘を鳴らしている。
 
人間は情けないから50年くらいたつと忘れてしまう
安倍政権の中には戦争を知っている
           政治家はいないんですよ」−−寂聴
の言葉は鋭く、重い。
ぜひ、安倍総理に読んで欲しい。日刊ゲンダイ 14年4月6日掲載

安倍さんのクスリは興奮剤じゃないの?

−−都知事選の応援の際、これは脱原発の戦いだけでなく、安倍政権をストップさせる戦いだ、とおっしゃった。
しかし、その後も安倍政権はイケイケドンドンという感じで、
集団的自衛権の行使容認に向けて突き進んでいますね。

 どうして、あんな元気なんでしょう、あの人は。
病気だったんでしょ? 
もう出てこないと思ったら、とてもいいお薬が見つかったってね。
そのお薬の中に興奮剤が入っているんじゃないかしら。

−−靖国参拝や河野談話見直しの動きなど、
周辺諸国を刺激するような言動ばかりが目立ちますね。

 安倍政権の人は、自分たちの祖先はそんな悪いことしてないと思っているのかもしれませんが、
          しましたよ。
朝鮮人を連れてきて、炭鉱でこき使って殺しているじゃないですか。
私は北京にいましたから、食べ物まで差別したのを見ています。
慰安婦の問題だって、もともとあってはならないことなんですよ。

−−NHK会長の言動にも呆れましたね

 あの人事は安倍さんでしょ? 
なんですか、あの人。
あんなムチャクチャな人をトップにいただけないでしょ。
NHKの職員は辞めさせられないの?
 デモでも起こせないんですか?

* * 
 
 
* * *

戦争を始めれば日本は消えてなくなります

−−
この政権の危うさは日に日に強まっているような気がします。

 もし、戦争が始まったら、米国が助けてくれると思っているでしょ。
日米安保という契約があるから。
そんなもん信じられないんですよ。
先の大戦の時に、ソ連が裏切ったじゃないですか。
あれだって、(不可侵の)契約があったんですよ。
人間の契約なんて、あてにならないんです。
私は戦争が始まったら、すぐにアメリカと中国は仲良くなると思いますよ。
日本は沖縄みたいに両方からやられてしまう。
戦争が終わったら、
日本の半分は米国のなんとか州、
もう半分も中国のなんとか省になっているんじゃないですか。
戦争なんてすれば、国はなくなるんですよ。
それなのに政治家は日本は永久に続くと思っている。
 
 −−
同盟関係による軍事的な抑止力なんて、あてにならない。それよりも、
いかに戦争を阻止するか。
そちらに傾注するべきだと?

 日本にはせっかく、戦争しないという憲法があるんですよ。
それを戦争できる憲法にしようとしているんですよ。
米国から与えられた憲法だって言うけれど、
その憲法で戦後70年間、
誰も戦死していないんです。
これは凄いことなんですよ。

−−なぜ、安倍総理はそこまでして、
軍事力を行使できるようにしたいのでしょうか?

 権力の場に立つと、男は変わるんですよ。
権力第一になる。
自分が思う通りになると気持ちがいいんでしょう?

−−それで、その権力、武力を誇示したくなる。
それが権力の狂気だとして、
周囲にいさめる人が見当たらないのも悲劇的です。

 戦争を知っている人が安倍政権にはいないじゃないですか。
戦争の悲惨さを知らないし、
みんな、今の政府での立場を良くしたい。
そうしたら、誰も反対しませんわね。

 
−−そうやって、どんどん戦争準備法案みたいなものが通っていますね。
特定秘密保護法など。
この辺は戦前と似ていますか?

 あっという間に国って変わるんですよ。
特定秘密保護法もとても怖い。
戦前、ものを書いちゃいけない、と言われましたが、
そこまで行きますよ。
       同じです。

−−
しかし、世論にはそうした危機感がない。

 当時もね、われわれ庶民にはまさか
戦争が始まるという気持ちはなかったですよ。
のんきだったんです。
袖を切れとか、欲しいものを我慢しろとか言われるようになって、
ようやく、これは大変だと思いましたが、
女学校の修学旅行は朝鮮、満州に行ったくらいだし、
真珠湾攻撃の日は女子大にいたんです。
ちょうど翌日から学期試験で勉強していた。
そうしたら、みんなが廊下を走ってきて「勝った」「勝った」と騒いでいる。
私は明日は試験がなくなると思って「しめた」と思って寝ました。
試験はちゃんとありましたけど、こうやって国民が知らない間に
政府がどんどん、戦争に持っていく。
そういうことがありうるんです。

 −−特に当時は大本営発表の情報だけでは何もわかりませんね

 真珠湾で何があったのかもわからなかったし、
             なぜ、そうなったのかも知らなかった。
自分たちはいいことをしていると思っていましたからね。
 今は情報は豊かになりましたが、
イラク戦争のときはすべて、多国籍軍サイドの情報でした。
私は前の戦争で懲りていますから、
自分の目で見なければわからないと思って、
                 イラクに薬を持っていきました。
そうしたら、やっぱり、それまでの報道と実態は違っていました。

 −−今も大メディアは安倍政権の批判をしない。
 
瀬戸内さんも含めた文化人の方々が脱原発で訴えても、メディアは大きく報じない。
そういう怖さも感じませんか

 本当に大きな新聞はあまり書きませんね。
以前、経済産業省前の原発反対のテント村に来てくれと言われて、
足が悪かったので、車椅子で行ったことがありました。
それまではみんな知らん顔して通っていたけど、
私がいると、寂聴さんがいるってなるわけですよね。
それまで無関心だった人が原発反対の字を見てくれる。
それだけでも役に立ったかなと思ったんですよ。
 そうしたら、報道の人が来て、
「(こうやって反対していれば)再稼働しないと思いますか」って聞くんです。
周りで座っている人は「しないと思う」って言いましたが、
私は「するかもしれない」と言ったんです。
それじゃあ、なぜ、座っているのか、と聞かれて、
「もし再稼働しても歴史に残った時に誰も
反対しなかったと思われるのが嫌だ。
反対者がいたという証拠で座っている」
と言いました。

 −−そこまでしないと、取材にすら来ない。
これだけ地震が多い国なのに、
信じられないような世相ですよね。

 原発を動かせば、儲かる人がいるんです。
その人たちの力が強いから、
政府はその人たちと手を結ばざるを得なくなる。

* * * * *
神も仏もなくて拝金主義

−−命より金儲けですね。
 
こうしたモラルダウンはいつからなんでしょうか。
今の政治家が劣化したのでしょうか。
 前も同じようなところはあったように思いますが、
今はちょっとひどいような気がしますね。
でも、そんな政治家を選んだのは庶民ですからね。
戦争に負けて、日本はもっとひどくなると思ったら、
すごい活力でよみがえったでしょ、日本人は。
家を建て、着物を買って、その家に飾るものを欲しくなる。
全部、お金ですよ。
戦後くらい、拝金主義になった時代はないですね。
そうやって日本人は戦争の怖さを忘れちゃったんじゃないですかね。
全てはお金。
そのために目に見えない心とか、
神とか仏とかどうでもよくなったんですね。

 −−これだけ就職難で、正社員になれないのに、
若い人にも妙な満足感があるのか、
               おとなしい。

 なんとなく食べられて、昔より豊かに暮らしているでしょ?
 国民全体が自分が底辺だと思っていないわけですよ。
本当に貧乏で、困っていたら、もっと騒ぐと思う。
どこかのどかなんですね。
職がないのに。
昔は学生が騒ぎましたよね。
世界の歴史を見ても、革命を叫ぶのはいつも若い人たちだったんですよ。
それが草食系とかいって、女ともできないって、そんなことばっかり。

−−なぜ、そうなってしまったんでしょうか

 こっちが聞きたいですが、やっぱり教育でしょうね。
その教育にも安倍さんがまた手を出そうとしている。
こうして見ていくと、いいことひとつもないですね。
私はすぐ死ぬからどうでもいいけど、
子供たちにこのまま、この国を渡して死ねないという気持ちです、
怖くて、かわいそうで。
今の若い人にはしっかりと目覚めて欲しいです。
自分のことじゃないみたいな顔をしていちゃダメですよ。

▽せとうち・じゃくちょう 1922年生まれ、91歳。
小説家、天台宗の尼僧。東京女子大卒。
代表作は「花に問え」(谷崎潤一郎賞)や「場所」(野間文芸賞)、
「風景」(泉鏡花文学賞)など。
「源氏物語」に関連する著作も多い。
2006年文化勲章。
2012年5月には経済産業省前で脱原発のハンガーストライキに参加した。
 

 
 

               
 
 
 
 


☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆

今の日本は、保守化、右派の影響力が高まっている。その背景には、韓国、中国への感情悪化だけでなく、リベラル、左派の魅力のなさ、ストーリーのなさがある。
今の日本のリベラルに、欠けているものは何か、
どうすれば国民の心をつかむことができるのか。
社会活動家として最前線で戦ってきた湯浅誠氏が、
論客との対談を通じて、「真のリベラル」の姿を探る。
 
 第1回の論客は、小説家の瀬戸内寂聴さん。
社会活動家の湯浅誠さんと小説家の瀬戸内寂聴さんが、原発問題や戦争について語り合った

若い人にリベラルな考え方をどう伝えるかが課題

──今日は、次世代のリベラルについて伺いたいと思います。まず先の東京都知事選を、おふたりはどのようにご覧になりましたか。
湯浅 誠 社会活動家
1969年、東京都生まれ。東京大学法学部卒。2009年から足掛け3年間、内閣府参与に就任。内閣官房社会的包摂推進室長、震災ボランティア連携室長など。政策決定の現場に携わったことで、官民協働とともに、日本社会を前に進めるために民主主義の成熟が重要と痛感する。現在、朝日新聞紙面審議委員、日本弁護士連合会市民会議委員、文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」レギュラーコメンテーター。2014年度から法政大学教授。講演内容は貧困問題にとどまらず、地域活性化や男女共同参画、人権問題などにわたる。著書に、第8回大佛次郎論壇賞、第14回平和・協同ジャーナリスト基金賞受賞した『反貧困』のほか、『ヒーローを待っていても世界は変わらない』など多数。
 
湯浅:若い人たち、特に20代の4分の1が、田母神俊雄さんに投票しました。
若者の投票率は低いので20代全体の6%にすぎない。
とはいえ、リベラルな考え方のほうが世の中を良くして発展させていくことを、若い人たちにどういうふうに伝えていくかは大きな課題だ、とあらためて思いました。
 
──瀬戸内寂聴さんは、脱原発を訴える細川護煕元首相を支持し、応援演説もされました。
 
瀬戸内:20代の若い人たちは選挙に行っていませんよ。
行かなくてもいいと思っているから。
選挙権を持っていることの意味がわかっていないの。何であんなところに行かなきゃいけないのって、そういう感じですよ。
自分のことしか考えていなくて、自分以外のものはどうでもいいのね。
今の若い人は、自分と世界というものを考えなきゃいけない。世界の中の自分というものを考えるべきだと思いますね。
 
湯浅:一方で、若い人は仕事もけっこう大変だし、生活に追われていて、「政治に目を向けよう」と言っても、国会や法律が遠く感じてしまうところもあるようです。
 
瀬戸内:でも、なぜ若い人が貧乏なのかをよく考えないと。給料が安いのは自分が悪いわけではなくて、社会の成り立ちが悪いからでしょう。
自分の責任ではなくて、給料をくれるほうが悪いのです。
そうやって、どこに原因があるかまで考えないんじゃないかしら。
生活に余裕がないのはわかりますけど、お風呂やトイレに入っているときはひとりなんだから、そのときに考えたらいいと思うの。余裕がないというのは言い訳のような気がします。
 
湯浅:確かに、お風呂やトイレに入る時間は誰にでもありますね。
 
瀬戸内:脱原発だって、まるで自分には関係のないような顔をしていますけど、あなたの住んでいる地域の近くの原発がひとつ爆発したら、それまでの穏やかな生活や幸せと思っている生活は吹っ飛ぶんですよ。その怖さをもうちょっと知るべきね。
 
そして、やっぱり今の福島を見に行くこと。
実際にボランティアで行っている人に、私はたくさん会いましたけど、彼らは誰に教えられたわけでもなく行っています。
現実を見たら、じっとしてはいられない。
そういう衝動が湧いてくるのが若さですから、私はやっぱり若い人に希望を託さないといけないと思います。
もう年寄りはいいの。
 
湯浅:では、先ほどの厳しい言葉は、若い人たちに対する期待の裏返しなのですね。
 
瀬戸内:若い人にはまだ望みがあると思います。
そう思いませんか。
 
湯浅:私はまだ若輩者ですから、「若い人に期待する」という言い方をなかなかできないのですが。
 
瀬戸内:でも、あなたも若い人に入るのですよ。
91歳の私から見たらね。

「90年間、生きてきて、今の日本がいちばんひどい」

──瀬戸内さんは、「90年間、生きてきて、今の日本がいちばんひどい」とおっしゃっていました。
 
瀬戸内:ええ。私の経験によると、今の日本がいちばんひどいです。だって、自分さえよければいい、隣りの人が困っていても知らん顔、自分の家さえよければいいと思っているでしょう。
昔の日本人はそうじゃなかったのよ。
貧乏で長屋に住んでいても、お隣に醤油やお米がなかったら分けてあげたものです。
今は隣りの人が何をしているかも、知らないじゃないですか。そして、みんな暗い顔をしている。
戦争中は実はそんなに暗くなかったのです。
国や政府の言うままに感化されて頭がイカれていたから、出征する人に「行ってらっしゃい」なんて万歳して、負けているのに「勝った勝った」って提灯行列したりして、にぎやかだったの。
家族が戦争に取られて悲しくて泣いたなんて伝わっていますけど、私が知るかぎり、そんな人は見たことがない。
誇らしげな顔をしていましたよ。
むしろ家族に男の子がいなくて誰も戦争に行かない家の人が、肩身の狭い思いをしていた。
だから今、みんなが思っているのとはちょっと違うのね。
 
湯浅:息子を見送ったお母さんも陰では泣いていたのではないかと、寂聴さんの御本で書かれていましたが、そういう面もあったのではないですか。
 
瀬戸内:それはあったけど、泣いているのを人に見られるのはみっともないと思っていた。
やっぱりお国のため東洋平和のために、うちの息子は戦争に行ったと思っていましたから。
息子の無事を祈りたいし、別れるのは嫌だけれども、メソメソするのは恥ずかしいという気持ちがあった。
そういう教育を受けていたの。
 
湯浅:寂聴さんご自身も、戦争が終わるまではそういうふうに思われていた?
瀬戸内:そうなの。バカでしょう。
 
 
 

中国兵に殺されると思っていた

湯浅:お母様とおじいさまが亡くなられていますよね。
 
瀬戸内:ふたりは防空壕の中で焼け死にました。
でも、ピンとこなかった。
私は当時、夫の赴任先の北京にいて、それを見ていないですから。
 
湯浅:亡くなられたことは、敗戦後にお知りになった?
 
瀬戸内:いいえ、敗戦後1年経って、日本に帰ってくるまで知りませんでした。手紙なんてもう出せなくなっていましたし。戦争が終ったときも、どうしていいかわからなかった。
亭主は向こうで徴集されて行ってしまって、生まれたばかりの子どもを抱えてうろうろしていた時期ですからね。
それで、働かないといけないと思ったのですが、なかなか勤め先がなくて、やっと運送屋の電話番として雇われて勤めに出たら、その日に終戦を迎えたのです。
ラジオから昭和天皇のお声が聞こえるけど、ザアザア、キイキイ聞こえるだけで何を言っているかわからない。私は戦争に負けたのではなくて、ソ連が入ってきたと思ったの。
それで関東軍司令官が「みんな逃げなさい」と言っていると思った。そうしたら、運送屋の主人がわあっと泣き出して「日本が負けた」と。
私はそれを聞いたとたんに飛び出して、急いで家に逃げ帰りました。門を閉めて、子どもと一緒にじっと潜んでいた。
それは怖かったですよ。
 
湯浅:御本には、もし中国兵に囲まれたら、お子さんを殺して自殺しようと思っていた、と書かれています。
 
瀬戸内:もう殺されると思いましたね。
なぜかというと、私たち一家は中国人と仲良くしていたけど、周りの日本人は中国人をいじめていましたから。
戦争に負けたら、きっと殺されると思った。
私の命はどうでもいいけど、子どもをどうやって守ろうかと、震えながら家の中にいました。
ある朝、そっと門を開けて、外の様子がどうなっているか見たら、路地の壁に真っ赤な紙がいっぱい張ってあって、
「仇に報いるに恩を持ってす」(恨みを恩で報いよ)と漢文で書いてあったの。
ああ、こういう国と戦争をしたら、それは負けるわとそのとき、思いました。
へなへなと力が抜けて、もし中国兵がやって来たら仕方がないと覚悟しましたね。
 

戦争をしたがっているのは戦争の怖さを知らない人たち

湯浅:最近、日本がおとなしくしていると、中国にどんどん付け込まれて、やられてしまうのではないか、やられる前にもうちょっと頑張らなきゃいけない、やられないように集団的自衛権の行使を容認する、という理屈が見受けられます。
それについてはどう思われますか。
瀬戸内:ちょっと言いにくいのですが、私の時代は日本人が中国人と韓国人をいじめているんですよ。
日本にいる中国人と韓国人は自分の国では食べていけない人も多かった。
日本人は彼らを侮蔑し、仕事なんて与えなかった。
仕事といったらクズ拾いとか、道路に座って手品を見せるぐらいしかない。それでも彼らは中国や韓国にいるよりは生きられたのも事実なの。私たちは、彼らの国の本当に貧しい人たちしか見ていなかったのですよ。
ところが、中国や韓国で本当に教養のある人やおカネのある家は、日本人なんかかなわないくらいのレベルなのです。
そういうことを私たちは知らないし、学校でも教えてくれなかった。
だから、私は戦争に負けた後で、人の言うことを鵜呑みにしたらダメだ、自分が経験して、手で触って、温かさも滑らかさも自分で感じたものしか信じないと誓いました。
それが自分にとって、戦後の最も大きな革命でした。
 
湯浅:当時、中国人や韓国人をいじめていた日本人が、そのポジションに今度は自分たちがなるのが、怖いのではないですかね。「中国や韓国に負けるな」と叫んでいる人たちは、自分たちが仕返しされるのを恐れている。
 
瀬戸内:でも、戦前・戦中に彼らをいじめた経験のある人や、それを見ていた人たちは、もうほとんど死んでいるじゃないですか。今、そんなことを言っている人たちは、戦後の世代でしょう。
 
湯浅:そうですね。もっと若い人たちです。
 
瀬戸内:今、戦争をしたがっているのは、何も知らない人たちですよ。知らないから平気で憲法改正や特定秘密保護法とか、戦争をしたがっているようなことを言うのだと思いますね。
 
湯浅:安倍晋三さんを含めて若いですよね。
 
瀬戸内:戦争を経験した人が、まもなくみんな死にます。戦争の怖さを知らない人たちが、戦争のできる国にしようとしていて、本当に戦争するかもしれない。
いざとなったらアメリカが助けてくれるなんて思っていたら、とんでもないですよ。
中国と戦争してアメリカが加わったら、日本の半分はアメリカの何々州になって、残る半分は中国の何々省になります。
日本はないです。
そういうことがありうることを、今の若い人は考えてもいないですね。
 
湯浅:日米で中国を封じ込める、といった意見もありますが。
 
瀬戸内:アメリカは自分の国が危なくなったら、
日本なんかどうでもいいですよ。
 
湯浅:私もそう思います。
 
瀬戸内:中国と仲良くなるか、あるいは中国と本気で戦うか。日本のために戦うなんてない。
 
湯浅:むしろアメリカが考えているのは、北朝鮮という非常に不安定要素がある中で、日本と中国と韓国がもうちょっと協調してくれよ、と。何かあったときにこんなに足並みが乱れているのでは、また自分たちが出ていかないといけなくなるじゃないか、といったことですよね。 
自分のことしか考えないのは、教育が悪いから
 
 
瀬戸内:そう。自分の国のことしか考えていない。
どこの国もそうです。
世界の平和なんてことは考えない。
自分の国さえよければいい。
政治家は自分の属している政党や地域さえよければいい。世界と自分というふうなことは誰も考えていません。
 
自分のことしか考えないのは、教育が悪いんですね。
小さい子どもにちゃんと教えないといけない。
そういう考え方は幸せではなくて、隣りも向かいも裏の人もみんなが幸せでなければならないと。
子どもは無邪気だから教えたら信じます。
小さい頃からいい先生がひとりでもいて一生懸命教えれば、その子はそれをずっと覚えています。
 
湯浅:私も小学5、6年生のときに、学校の先生が教科書を使わない人だったのですが、当時、教わったことは、後でこういうことなのかとわかりました。10年以上経ってからでしたね。
 
瀬戸内:だから教育は大切。
その教育もまた、政府が差し出がましいことをしようとしているでしょう。教育は教育の世界で独立させておかなきゃダメですよ。
湯浅:日本人は多様性の扱い方が慣れていないですよね。慣れていないから、きつく縛るか、全部放任するか、どっちかしかない。バラバラになると急いで締めて、締めすぎるとひどいじゃないかといってまた緩めて。これを繰り返している気がします。
多様性を多様性のまま尊重しながら、そこからいかに全体の力を引き出すか。一人ひとりの力を引き出して全体を高めるか、そういうノウハウとして蓄積されていない。
 
瀬戸内:いじめの問題にしたって、いじめがあったときに先生は知らん顔するでしょう。
自分のクラスにいじめがあったら自分の評価が下がるから、子どもが訴えてもそれを取り上げない。
身を挺しても子どもを守ってあげるようでなければ、教育者じゃないですよ。
湯浅:先生も追いつめられているのかもしれませんね。
 
瀬戸内:それこそ生活に追われて、自分の家庭を守るのに精いっぱいでは、生徒のことまで一生懸命になれません。先生はやっぱり給料をたくさんあげないとダメです。
 
湯浅:教師だけでなく、政治家や裁判官もそうかもしれませんが、独立して自分の意見を言うためには、それなりに生活基盤がしっかりしていないと難しい。「頑張れ」という世間の要求は高まっていますが、生活基盤はだんだん弱まっています。
 
瀬戸内:「頑張れ」「頑張れ」とよく言うけど、私は「頑張れ」という言葉が嫌い。被災者の方々を見ていると、「頑張れ」と言ったって頑張りようがないですよ。
 
湯浅:やっぱり頑張れる条件を作ることが大事だと私は思います。
 
瀬戸内:でも日本人全体が自分さえよければいい、という考え方になっていますから、なかなか難しいですね。
 
(司会:伊藤崇浩、構成:上田真緒、撮影:尾形文繁)
 

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