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混戦の小沢王国…
岩手 自民・前閣僚ら気勢
剛腕にも焦りの色
地元業界団体を回り、参院選での協力を求める生活の党の小沢一郎代表(左) =6月11日、盛岡市の岩手県農業協同組合中央会
「こ、こ、これは…。押さえなければいけない所を全部押さえている」
6月上旬、ある民主党議員は1枚のペーパーを見て、思わずうなった。
目にしたのは、参院選岩手選挙区(改選数1)における、生活の党の小沢一郎代表の日程表だ。農業、漁業、商工、医療…。びっしりと書き込まれた訪問先は、見る者が見れば、この選挙に勝利するための“急所”を完全に網羅していることが分かる。
◆「隠密行動」を返上
その小沢氏は6月11日に岩手入りすると、地元では実に20年ぶりとなる行動に出た。
「私自身も農協の組合員です。日本の伝統文化を継承しているのは農漁村ですよ」
小沢氏が訪れたのは盛岡市の県農業協同組合中央会。自民党離党以来、疎遠になっていたが、この日は反環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を訴え、20年という歳月で生じた距離を詰めようとした。
しかし、他党をうならせる小沢氏の行動は、焦りの裏返しでもある。実は、小沢氏の岩手日程は県連を通じて事前に報道機関に告知された。「隠密行動」を好む小沢氏にしては極めて珍しいが、そうでもしないと、今の小沢氏の行動をメディアが大きく取り上げることはないのだ。
26日に国会内で開かれた生活の党の参院選公認証授与式。小沢氏のあいさつは、まるで自らを鼓舞するかのような内容だった。
「民主主義は『数』だ。命がけで選挙を戦って、党の基盤を揺るぎないものにしなくてはならない!」
生活は岩手選挙区に元県議の関根敏伸氏を擁立し、小沢氏はここを「絶対に落とせない」最重点区と位置づけた。
一方、小沢氏が離れた民主党は、対抗馬として新人の吉田晴美氏を擁立した。その吉田氏は街頭演説で「女性の視点から医療介護や子育て支援を充実させる」と女性目線を売りにしている。だが、知名度不足は否めない。しかも、12人いた民主党県議のうち4人が別の候補の支援に回っている。
その候補とは、無所属で出馬する平野達男前復興相。平野氏は元小沢氏側近でありながら、小沢氏とたもとを分かち生活には行かず、4月に民主党を離党した。一時、自民党に接近したが、最終的に自民党に袖にされた。平野氏は「完全無所属でやっていく」と覚悟を決め、復興相を務めた実績を掲げて、支持拡大を図っている。
民主党の吉田氏が県外出身であることから平野陣営幹部は「『反小沢』の民主票は落下傘候補ではなく平野氏に流れる」と読む。
◆見えない力の呪縛
一方、民主党以上に「小沢王国」の陥落を狙っているのは自民党だ。前慶大ラグビー部監督として知名度のある新人、田中真一氏を擁立する。小沢氏の地盤が揺らぐ今、平成4年以来、21年ぶりの勝利に向け鼻息は荒い。かつて小沢氏と新進党で行動を共にした石破茂幹事長は15日に岩手入りし、てこ入れを図った。
もっとも、先の衆院選で、岩手の4選挙区のうち選挙区当選は2区の鈴木俊一外務副大臣だけ。その鈴木氏ですら、生活の畑浩治衆院議員に比例復活を許している。このことは小沢氏の支持層を自民党が完全には切り崩せていないことを象徴している。果たして有権者にかけられた小沢氏の“呪縛”を解くことができるのか。田中氏は街頭などでこのフレーズを好んで口にしている。
「岩手を長年縛ってきた『見えない力』から取り戻す!」
熾烈(しれつ)を極めている岩手夏の陣。抜き出た候補はまだいない。(松本学)
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吉田 晴美 41 元議員秘書 民 新
田中 真一 46 元議員秘書 自 新 【公】
関根 敏伸 57 元県議 生 新 【ミ】
菊池 幸夫 54 党県常任委員 共 新
高橋 敬子 51 元県職員 幸 新
平野 達男 59 前復興相 無 現