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若者は右傾化しているのか

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   今日の誕生日の花は・・・・・フリージア
 花言葉は・・・・・・ 無邪気 潔白 
  
アヤメ科
        
               夫が黄色な花束を抱えて帰ってきたことがありました。
               フリージアの花の間からのぞいた顔がまるで少年のよ
               うだったのを、昨日のことのように思い出しました。

               
 
真黄色のフリージア抱え帰宅せし
少年の如きありし日の夫 鳥海昭子
          
              挨拶は一言で足るフリージア      伊藤 敬子 
        傍にいるだけで幸せフリージア     鈴木和喜子     
        フリージアあすの蕾はひくくもつ     武藤ともお


   【万葉歌】 紅に染めてし衣雨降りてにほひはすとも移ろはめやも
                                                                        (巻16ー3877)
 
佐々江駐米大使が26日のワシントンでの邦人プレス向け記者会見
日中関係について自ら言及しました。
「歴史を必ずしも体験として承知していない日中双方の若い世代の間で、
不必要な感情のやりとりがソーシャルメディアなどで見られることに懸念を持っている」
 
「ネット上で中国から憎悪をかき立てるようなものが出てくることに対して、
当然いろんな感情を持つ人たちがいる。
これが急速に増幅している。
放置して若い世代がお互い悪い感情を持つことは健全ではない。
相手の感情を害することはしないよう、
古い世代が指導していく責任がある」
 
 
 若者は本当に田母神氏を支持したのか? 
               古谷経衡分析からー



 都知事選挙が明けて一息つき、各メディアが選挙分析の助けとなる指標を次々に公表している。
中でも特に注目したいのは2月9日に出た朝日新聞の出口調査。これによると、20代の有権者の投票先で、2位につけているのが田母神候補であることが分かる。

・若者の田母神支持は本当か?

選挙戦では宇都宮・細川に及ばず4位となった田母神、
20代からの支持は突出しているということができる。
続いて、
30代の得票でも3位につけているなど、
この結果から「田母神氏は若者からの支持に支えられた」
という言説が目立ってきた。↑の図表

 このような結果を鑑み、今回の都知事選で20代、30代の若年層の中で、実際に投票所に足を運んだ有権者が、他の年代に比してより田母神に投票したのは疑いようのない事実だとしても、
これだけで果たして
「若者は田母神を支持した」
と言うことができるのだろうか。

今回、田母神に投票した都民の多くは
「ネット保守(否定的な文脈でのネット右翼)」を中核する「新保守」の系譜にある、
この「ネット保守」を批判的にみる文脈では早くも
「若者の右傾化」、
肯定的にみる文脈では同じく「若者の(保守的な意味合いにおいての)正常化」が叫ばれている。

・20代の投票率を加味しない
     「若者論」は無意味

田母神に投票した有権者の年代構成が、
舛添、細川よりも若い
というのは各種調査で判明しつつあるので疑うべきものではない。しかし、
これを以って「20代の若者(ネット世代)の多くが右傾化/正常化した」という論調には、
大変強い違和感を感じざるを得ない。

まずこういった議論の多くは、世代別の投票率を勘案に入れていない場合が多い。
つまり「20代のうち、何%が投票に行ったのか」で、「若者の右傾化/正常化」の文脈は変更を迫られることになる。
もし20代の過半数が一票を投じ、そのうちの第2位が田母神氏に票を投じたのであれば、
こういった「若者の右傾化/正常化」の理屈は一応筋が通っている。
しかしもし20代のうち、ごく少数しか投票にいかなかった場合、
その結果をそのまま「若者の意思の象徴」として捉えてしまうことに問題はないのか。

・数字で見る本当の”20代田母神票”のゆくえ

これには今回の都知事選挙における世代別の投票率
今回の都知事選挙(46.15%)と同程度の投票率であった平成7年の参議院通常選挙(投票率44.52%)を極めて近い基準として、
今回の都知事選のそれにシンクロさせてみよう。

それによるとこの時の20代の投票率は
「25.15%」(総務省調べ)となる。
実に20代の4人に1人しか投票していないという計算になる(因みに、平成14年の都知事選挙/全体投票率44.94%でも、20代の投票率は約25%強と大差ない)。

では、東京都内の20代の有権者数はと言うと、
2012年3月末の時点で約157万人(東京都選挙管理委員会)であり、ここに「25.15」をかけると、


1,570,000×0.2515=394,855

となり、約39万人が今回の都知事選挙における実際の20代の投票者であるということになる。
ここで、冒頭にあげた田母神への投票者が24%であるから、


394,855×0.24=94,765

となり、約9万5千人の20代が田母神氏一票を入れたことになる。田母神の得票総数は61万票だから、
田母神の得票に占める20代の割合は約16%となる。
これを「多い」のか「少ない」とみるのかは意見が分かれるところであるが、
少なくとも「20代の若者によって田母神が支えられた」
というのは、些か誇張の感がしないでもない。

・世代別にみた”田母神票”

各世代を同じ計算式に当てはめると、

・30代の有権者約209万人のうちの実効投票率41.4%=86.5万人。田母神へはその内17%だから147,000人
で田母神票の約24%。

・40代の有権者約200万人のうちの実効投票率48.3%=96.6万人。田母神氏へはその内14%だから135,000人で田母神票の
約22%。

・50代の有権者約144万人のうちの実効投票率54.7%=78.7万人。
田母神へはその内11%だから87,000人で田母神票の
約14%。

・60代の有権者約162万人のうちの実効投票率64.8%=92.2万人。田母神へはその内7%だから65,000人で田母神票
約11%。

・70代以上の有権者約193万人のうちの実効投票率57.2%=110.4万人。田母神へはその内6%だから66,000人で田母神票の
約11%。

となる(すべて総務省/東京選管の数字に基づく)。これをグラフにまとめるとこうなる。↑の図表

 他の候補よりは、20代、30代の支持比率は高いことは間違いないとしても、「田母神支持の主力が20代の若者であった」というのはちょっと飛躍しすぎかなと思う。
これを見てもわかるように、田母神票の中心は
30、40代であり、
20代の支持数は50代と大差ない。

・「ネット保守」の平均年齢は38歳

『ネット右翼の逆襲 嫌韓思想と新保守論』(総和社)の中で、
「ネット保守」1,000人近くに独自の調査をした結果、その平均年齢は「38歳強」と出た。
今回の田母神の支持層が、ゼロ年代初期より広まってきたインターネット上の「ネット保守」を主軸とする「新保守」の潮流をそのまま投影したものであるとすれば、
調査した大規模なデータと、
今回の田母神票の世代構成は驚くほど似通っている。

「ネット保守」の中心は30代、40代が主力であり、
比較的富裕な中小の自営業者を中心とする都市部の中産階級である、というのが長年の持論であるが、
今回の都知事選挙における田母神候補の得票分析は、
この「ネット保守」の自説を補強するものになったことは間違いない。

むろん、政治の世界で30代、40代が「若者」といえばそう言えると思うが、少なくとも世間が想定するような「若者」、
つまり大学生とか新社会人とか居酒屋でバイトをしたりクラブに行って遊んでいる「古典的なイメージの若者たち」が、
田母神支持者の中核を担っている、
と考えているのであればそれは大きな間違いである。

・「若者の右傾化」は左派の事実誤認、
「若者の正常化」は保守派の願望

そもそも、20代の25%しか投票に行かないのに、
その更に2割強が田母神に投票したからと言って、
「若者の右傾化/正常化」を叫ぶのは早計であろう。
この国の若者は、
相変わらず政治に無関心か、関心があっても日々の業務や学業に忙しく、選挙に行くどころの状況ではない、
というのが「正直な若者像」であるといえる。

25%のうちの24%は6%である。
20代全体の内、田母神に投票したものは、
わずか全体の6%なのである。
4月に上がる消費税率より低いではないか。
これの何処が「若者の右傾化/正常化」だというのだろうか。

この計算に従って、各年代別の候補者投票率を票にしてみた。↑の図表

  これを観ても分かるように、世代別の投票率を勘案すれば、田母神への得票は20代がことさら多いというわけではない。
寧ろ世代的には、30,40代を中心にほぼまんべんなく出力している、とも言える。
唯でさえ少ない母数の内、
その一部に有意な差が見られたからと言って、
その結果を「若者全体」に援用するのは余りにも雑な議論である。少なくとも20代の投票率が、50%を超えてから判断しなければならない。
20代で投票所に行くのはマイノリティ(24%)であり、
更にその中で田母神候補に投じたのは更にマイノリティ(6%)である。

よって、左による「若者の右傾化」は事実誤認の過大評価であり、右からの「若者の(保守的な文脈での)正常化」は願望に基づく過大評価である、と結論するものである。



▼この古谷経衡論考は興味深い。
「20代の投票率を加味しない『若者論』は無意味」と指摘し、
「若者の右傾化」は左派の事実誤認、
「若者の正常化」は保守派の願望と結論付けている。
 
 

 
 
 
 
 
 

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