この世の春を謳歌していた安倍晋三に吹いていた風向きが、なにやら変わってきた。
小渕優子の、どはずれた政治資金問題は、
大臣辞任どころか逮捕されるべき犯罪だ。
松島のウチワは、たしかに問題ではあるが、おそらく底をさらえば何十人という単位で出てきそうな同罪のものは出てきそうな気はする。
そして棚ぼたで大臣になった宮沢洋一のSMバーだ。
小粒ネタではあるが、今後10年くらい日本人は宮沢の顔を見る度にロープやろうそくやムチを思い浮かべるだろう。
NHKのアナウンサーが真面目な顔で「SMバー」
などと放送したのは初めてではないか。
そして、不可解なことー
在特会界隈の5人が逮捕された。
それも70日も前の障害事件でだ。
逮捕したのは、警視庁の所轄でも刑事部でもなく、公安部だ。
暴行したから逮捕されたのではなく、
「逮捕しろという判断」が下されたから逮捕されたーーー。
在特会の仲良しと言えば、山谷えり子国家公安委員長だ。
在特界隈の連中は、山谷先生が公安委員長だから
何をやっても大丈夫、と思っていたのだろうが、
ここに来て風が変わった。
山谷の思い通りには動かない。
山谷は、拉致担当大臣でもある。
拉致問題は、安倍政権は北朝鮮に手玉に取られている。
平壌まで来れば話をしてやる、
と言われて伊原局長が出かけて行くらしいが、
ほぼ手ぶらで帰ってくるのは間違いない。
そうなれば、山谷の責任問題になる。
そのタイミングでスキャンダルをかまされたら、
まず沈没は免れないだろう。
山谷えり子は心の底からの極右であり、
安倍晋三の心の友なワケで、もし山谷が沈没することになったら
小渕や松島とはダメージの大きさは桁違いだ。
もう一人、ネオナチとの友好関係をひけらかしている高市早苗はどうか。
高市は、山谷と変わらぬ極右ぶりを見せているが、
この人物はおそらく安倍にとりいるために極右をやっている。
要するに、権力者にとり入るためならなんでもやる、
というタイプの無節操な人物なのではないかー
こういう高市のような人物は、しぶとい。
ドミノ辞任の波を振り切って生き残る可能性は高い。
それは、高市の無節操さのみならず、バックにパソナがついており、
パソナは竹中平蔵というネオリベ(国際資本)の日本エージェントの受け皿になっているからである。
なぜ隠す…高市早苗政調会長にパソナとの不透明な金銭関係(日刊ゲンダイ)
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話を分かりやすくするために、少し図式的に自民党を3分類しておく。
1.土着自民
ワインや観劇や利権で地元の支持者の人気を取る、
典型的な古いタイプの自民党。小渕はまさにこれ。松島も宮沢も同様。
2.極右自民
日本民族至上主義のカルトチックな極右。
山谷えり子や稲田朋美、西田昌司などを思い浮かべると分かりやすい。
この連中は、たまに従米という自民党のレゾンデートルを忘れることがある。
3.ネオリベ自民
ネオリベ、新自由主義、国際金融資本の手下。
迷いのない従米。
小泉純一郎&竹中平蔵が典型。
野田や前原のように民主党のほうがむしろこの勢力は大きい。
前のときもそうだったが、安倍晋三というのは、
この3つを融和させ、最終的に3のコースにもっていくのが至上命題だ。
そのために、総理にさせてもらっている。
ところが、個人的な嗜好と人脈に引っ張られて、いつのまにか2のコースに深入りし引き返せなくなる。
そして、腹が痛くなり辞任する。
ネオリベが望んでいるのは、日本の資産をソックリ差し出すことだ。
金融資本はもちろん、これまで税金で作ってきた高速道路や鉄道やありとあらゆる公共資産も、自衛隊も軍需産業も、
あらゆる知的財産も人材も脳みそも、全部 だ。
そのためのアベノミクスであり TPPであり 集団的自衛権だった。
しかしー
安倍政権はもぞもぞと抵抗を試みた。
TPPは時間稼ぎをおこない、
その間に米国内の反対も高まってそう簡単に締結できなくなった。
アベノミクスの金融面は思い通りに出させているが、土着利権に直結する公共資産についてはなかなか進まない。
土着利権を手なずけて、さっさと吐き出させるための安倍政権が、むしろ土着利権に絡め取られ始めた。
それどころか、極右の本性を露わにして、大日本帝国ごっこを始めている。
大日本帝国は、米国の敵国だということを忘れて。
今回、小渕と松島の後任に、明確なネオリベ系を用いなかったことは、
おそらくネオリベ(国際資本)にとって許容できないことだったろう。
安倍の抵抗と映っているはずだ。
それがどうやら、
安倍政権に対する風向きの変化につながっているようだ。
安倍晋三がせっせと天ぷらを食って手なづけたマスメディアが、
安倍に同情的ではなくなってきたーー。
そしてーー、
この流れと、9月の終わりから始まった株価の下落は無関係ではないーー