多くを語らず粛然と舞う静の艶麗
花にもでしゃばらない風姿とどめ
一人静坂越し山越す誰が恋も 中村 草田男
一人静咲きいで旅のこときまる 水原 秋桜子
太平洋側に津波20~50センチ日向灘午前7時頃
いま、エコノミスト、政府関係者、政治家の景気見通しはほぼ一致している。
しかしー
私は、そう簡単に景気は回復軌道に戻らないと思う。
それどころか、少なくとも家計は、
リーマンショック並みの大打撃を受けると考えている。
その理由は、
高率インフレの下で所得が伸びず、
実質賃金が大幅に低下するからだ。
まずー、インフレ率から考えよう。
4月から消費税率が3%引き上げられる。
消費税には
保険診療費、
家賃、
学校教育費など非課税品目があるから、
単純計算だと消費税引き上げに伴って
消費者物価は2.2%上がる。
しかし私は、2.5%上昇するとみている。
例えば保険診療費は非課税だが、
病院は電気代や水道代といった経費を負担している。
経費には消費税がかかるから、消費税が引き上げられても、
診療報酬をそのままにしていたら病院が赤字転落してしまう。
現にー、
4月からの診療報酬は消費税対応分として、
1.1%引き上げられることが決まっている。
またー、
消費税引き上げにともなって3%以上の価格引き上げになる商品も多い。
自販機で10円単位の価格設定が必要な
電車の切符、
缶ジュース、
タバコなどに加え、
理髪店のQBハウスが、10分1000円の料金を1080円に引き上げるなどの動きもある。
こうした消費税対応の価格引き上げに加えて、
日銀が2年間で2%の物価上昇を目指した
異次元金融緩和を実施している。
この影響で、すでに今年1月の消費者物価上昇率は
1.3%上昇となっている。
また、日銀が設定した2%物価上昇の目標期限が来年度末であることを考えると、
来年度の金融緩和による消費者物価上昇は、
1.5%となるだろう。
消費税引き上げの影響と合わせると
4%の物価上昇し、
これは'81年以来33年ぶりの高率インフレだ。
しかもー
、33年前は物価上昇を上回る賃金上昇があったが、
今年はそうはいかない。
報道ベースでは、6年ぶりのベースアップが
大手企業で続出したことで、賃金上昇ムードが高まっている。
しかしー
冷静にみれば、結果は手放しで喜べるものではない。
まずベアの水準が低いことだ。
例えば史上最高益が見込まれるトヨタでさえベアは2700円で、
ベア率だと0.7%程度だ。
そしてもうひとつの問題は、企業間、業種間の格差が大きいということだ。
同じ自動車でもスズキのベアは800円、
高島屋のベアは500円にとどまっている。
中小企業の賃上げ環境は、さらに厳しい。
だからー
全体としての賃金上昇率は0.5%程度にとどまるだろう。
そうなると、物価上昇率が4%だから、
実質賃金上昇率はマイナス3.5%となる。
これは戦後最大の所得減少ということだ。
いままで一番実質賃金が減少したのは、
リーマンショック翌年の'09年のことで、
マイナス3.4%だった。
“伝説のディーラー”藤巻健史、
* * *
3月5日の参議院予算委員会で麻生太郎財務相に質問。
質疑のなかで財務相
「これだけ大量に国債を発行しているのに、
長期金利が低位安定している。
この理由を説明できた経済学者は一人もいない。
日本国債には借用があるのだから、
今後とも国債発行に関しては心配していない」と言った。
経済学者には難しくても、
元ディーラーの私なら簡単に説明できる。
日本銀行が大量に国債を買っているからだ。
マネタリーベース(日銀が供給する通貨量)270兆円を達成するために、
2012年末に89兆円だった長期国債の保有を今年末までに
190兆円に増やそうとしている。
2年間で100兆円の買い出動だ。
新年度予算案は例年どおり40兆円を超える赤字である。
誰かが、この穴埋めに発行される40兆円分の国債を「買い増し」してくれなければならない。
国債の保有者が「売らない」だけではだめなのだ。
新しい借金分を誰かが「買い増し」してくれなければならない。
この買い増し役を日銀が引き受けているということだ。
しかしー
日銀が、その買い増し役を降りる今年末以降が心配だ。
誰が買ってくれるのだろう?
マーケットは先を読むからー、
危機はもっと早いかもしれない。
「日銀がさらに国債を買い増せばいい」
と安易に考えてほしくない。
「日銀が買い続ける限り債券価格は下がらない
(=金利は上がらず、低位安定する)。
だから安全だ」
との考えは、
「国民の財産がすべてねずみ講にシフトするまで、
ねずみ講は破綻しない」
との主張と同じだ。
「消費税は公平を謳いながら、実は不公平な税制」
* * *
消費税増税の推進する向きからは、賛成する理由として
消費税の納税額の算出方法を簡略化すると、
ポイントはこの「経費」に
その結果、消費税の納税額を減らすことができる、
消費税導入、橋本政権下で3%から5%へと引き上げの歴史と、
正規雇用を減らし⇔非正規雇用を増やす
今回の消費税の増税法案が
消費税を採用してから20数年あまり、
消費税導入をした年を起点として、
さらに、消費税を引き上げた1997年以降は
つまりー
【岩本沙弓/いわもと・さゆみ】
経済評論家、金融コンサルタント。
21%のアイルランド 実は 食料品の消費税率は 0%である
■ どういうこと?
「消費税は公平な税制ではありません」