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佐藤優×福島みずほ

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今日の誕生日の花は・・・・スイセン
花ことばは・・・・・ 自己愛 崇高
 
ヒガンバナ科 
 土手に寄りかたまって咲いているスイセンがまるで兄弟のようだと少女がつぶやきました。
少女には親も兄弟もいないのでした
  
スイセンはきょうだい仲良く咲いている
少しおませに少女が言えり                        
 
 
 

≪「特定秘密保護法案 
徹底批判
佐藤優×福島みずほ」その5
  
  警察がプライバシーを握る
 
福島 特定秘密保護法案は世界七〇カ国以上・五〇〇人以上の専門家が参加して作成された「ツワネ原則」(日弁連による日本語訳はこちら) にも反しています。
 
白紙撤回すべきですよ。
ツワネ原則にはジャーナリズムや市民活動家の活動を保護することも入っています。
 
第三者が秘密の中身について開示を求めることもできます。
けれども
特定秘密保護法案はまったくこれを満たさない。政府が開示するかどうかを決めるなんて、
第三者の目が一切ないじゃない ですか。
 
佐藤 その通りです。
 
福島 何度でも強調しますと、
秘密指定も広範囲。特定秘密保護法案は
デタラメです。
国際水準にまったく合致していない。
 
佐藤 万邦無比のわが日本にしかない法律になります(笑)。
国防、安全保障上の理由から秘密を保護しろという主張はわかります。
ですが、この法案の文言では、実際は官僚の秘密独占になるんじゃないでしょうか。
 
福島 そうですね。
 
佐藤 それから警察が適性評価をする仕組みですが、
なぜ中立の人事院でやらないのか。
なぜ利害関係のある機関がやっているのか。
 
福島 官僚が自分の首を絞められますよ。
 
佐藤 それどころか、有機的に秘密情報を扱えなくなってとんでもないことになる。
とにかく、この特定秘密保護法が成立するとなにが起こるかを議論しないといけない。
いまの時点ではこの法律は全部撤回して、ゼロから議論しないといけません。
 
福島 極端に言えば、外務省の力が強くなる。でも外務省のなかもぐちゃぐちゃになる。
警察が、外務省や防衛省、
すべての役所、民間企業も含めて、
人間関係から秘密、対立関係、
個人のプライバシーを全部握るんです。
 
佐藤 まず警察が肥大化します。
その場合、
外務省はなすすべがない。
ところが日本には「飛び道具」を持っている組織がある。
もっとその先を予想すれば、
「なんだ、おまわりめ。お前ら、
いろいろやってるけど、
こっちは飛び道具持ってるんだぞ」
となりますよ。
 
福島 飛び道具ですか。
 
佐藤 自衛隊です。
警察が、自衛隊のなかに手を突っ込んでメチャクチャなことをすると、
「なんだこのやろう」と反発しますよ。
「お前たちは国益なんか考えていないだろう」と。そうすると、
「やっぱり今の日本はもっとピシっとしないといけない」と、軍神みたいなのが 自衛隊のなかから出てきます。
 
福島 2・26みたいな事件が起きる危険性があるということですね。
 
佐藤 その可能性を過小評価してはなりません。本当に国家権力は恣意的に動きます。
特定秘密保護法の世界が長く 続けばダレてくるわけです。
非常に怖かったのが、
海上保安庁のお兄さんですよね。
「こんなけしからんことがある。
国民に知らせないといけない」と情報を流通させてしまう。
海上保安庁は武器をいじる役所ですよ。
そういったところが主観的な正義感で決起することを誘発しかねません。
 
福島 うーん。
 
佐藤 やはり、一番怖いのは自衛隊にどういう影響を与えるかということです。
「こんな警察指導体制の下だったら、
国防なんかできない」となりますよ。
 具体的な例を考えてみると、
例えば、三佐とか一尉ぐらいの自衛官がいて、順風満帆に出世してきているつもりだったとします。ところが適性評価で「酒癖が悪い」とか「女性トラブルがある」という理由で引っかかって、
出世のラインから外れてしまったらどうなるでしょうか。
「警察め、よくもやりやがったな。いつか復讐してやる」って考えますよね。
 
福島 適性評価は行政機関の長がやるってなっているんですよ。
でも委託できることになっていますから、結局は公安警察がやるんでしょうね。
 
佐藤 行政機関の長がどうやって調べられますか。
 
福島 調査の手足がないから調べられませんよね。
 
佐藤 だから警察がどんどん肥大化する。
自衛隊の警務隊が調べるといったって、そんなの信用しないですよ。
 
福島 なるほどね。
 
佐藤 軍隊に手を突っ込めば、
どれほど怖いことを後から誘発するかということに関する想像力が欠如していますよね。
やっぱり僕は吉村昭さんの『戦艦武蔵』をよく読むことが大切だと思います。
情報漏洩に対してどういう取り調べが行なわれるかがしっかり書いてありますからね。
 
福島 昔読んだことがありますが、もう一度読んでみます。
私は、特定秘密保護法は治安維持法と一緒だと思うんです。
最初は「こんな法律は大したことない」と言われていたものが、
実はすさまじい結果をもたらすことになると思います。
 
佐藤 化ける危険性があるんですね。  
  社会を疑心暗鬼にし国家を弱体化させる
 
福島 国会議員も本当にものを言えなくなりますよ。
 
佐藤 そう思います。
すでに物を言わなくなり始めている。
まずそれは自民党から始まるんです。
本来であれば自由と民主主義の問題だから、
自由民主党の名称からして、真剣に取り組んでいかないといけないわけですよ(笑)。
特に自由主義原則に反しているわけですからね。
 
福島 最初に取り上げた『中央公論』での谷垣さんたちの意見表明はものすごく格調が高かったのに、
いまはいう人が少ない。
ある意味で自民党の危機です。
 この他にも山のように論点があります。
たとえば地方自治体はどうなるのか。
今、地方自治体の首長にも米軍基地の問題などを情報を提供しているじゃないですか。
それは一体どうなるのか。
先日、参議院議員の有田芳生さんと話していた時には、オウム真理教の例が出ました。
当時の警察はオウム真理教がテロをやろうとしていることは知っていて、
『読売新聞』などにチラチラとリーク記事が出ていたんです。
ところが特定秘密保護法で「テロ対策だ」ということで秘密指定されたら一切出なくなる。
それは逆にとても危険なことになると思います。
 
佐藤 それもありますよね。
 
福島 そのうち全部が秘密になりますよ。
原発のことで考えてみても、
プルトニウムは安全保障の問題。
警備やいろんな施設の問題は全部テロリズム対策。
そして原発輸出は外交ですからね。
 
佐藤 確実に言えるのは、特定秘密保護法はまず社会を弱体化して疑心暗鬼にするでしょう。
その結果として国家が弱くなりますね。
乱暴な国家と強い国家は違いますからね。
日本は乱暴な国家にはなりますけれども、
国家としては弱くなりますよ。
 
福島 そして歴史の検証ができなくなる。
闇から闇へ。なんか刹那的な国家になりますよね。
そしてNSCについては、何のためにこれを作るのかをもっと言っていかなければいけませんね。
 
佐藤 専守防衛ということであれば、
NSCによる判断はいらないんです。
攻めてきたことに対して対抗するのは自衛権の発動ですから、これは明白です。
ところが判断をせざるを得ないということは、
別のオプションがあるということですよ。
湾岸戦争後の機雷除去からアフガニスタン攻撃での海洋自衛隊(筆者注:海上自衛隊?)の洋上給油、
イラクへの陸上自衛隊の出兵と、
少しずつ段階的に法制局解釈のなかで整合性を取りながら誤魔化してきたものが、
いま、質的にガーンと変わろうとしているんですよね。
 
福島 戦後日本が大切にしてきた
平和主義や国民主権、
基本的人権の尊重が失われてしまいます。
 
佐藤 外務官僚の発想からすると、
特定秘密保護法案に関心が集中している現状は、ある意味、
良かったと受け止めているはずです。
特定秘密保護法は付属品ですからね。
本丸の日本版NSCがすんなりといっているぞ、と思っているはずです。
世間はみんな、既存の安全保障会議に「国家」っていう文字が頭につくだけだと思っているフシがありますね。
 
福島 そうなんですよね。
日本版NSCの議論はあまりされていませんよね。
 
佐藤 戦前、国家高等警察がありましたよね。
 
福島 はい。
 
佐藤 国家高等警察は、選挙違反を取り締まるところだったのです。
知能犯を相手にするから。それが「特別国家高等警察」(特高)になって、質的に大転換した。それなのに、特高をつくるときは上に「特別」という字がつくだけですよ、と言っていたのと同じ構図ですよ。
 政治関係をやるんだけれども、
共産主義者だけやりますからと言って特別国家高等警察にした。
国家高等警察がそんなめちゃくちゃしたっていう話はなかったわけですよ。
ところが「特別」っていう二文字がついた途端に、質的に違う組織になっちゃったんですよね。
 
福島 アメリカとタイアップするために作ろうというものではなく、
まさにここで意思決定をしていくために日本版NSCを作るんですね。
 
佐藤 旧社会党時代から社民党と共産党の一番の違いは、
日本の帝国主義的な危険性を感じるかどうか、日本の政治家たち・統治者たちの帝国主義への誘惑を危険視するか、
侵略性に対する批判があるかないかです。
米国に従属しているだけだと主張する共産党に対して、
社民党は「日本の中にも相当主体的な力量がある」という批判を常にしていた。
それが社民党、社会党からの伝統だと思うんですよ。
 
福島 じつは、そうなんですよね。
 
佐藤 その視座で見なければいけません。
最近は感情的な反米論が強まりすぎたために、日本の政治家の責任を結果として免罪してるような状況がけっこうある。
「米国という巨大なものが来たら、
われわれは何も言えないんだ」
というイメージですね。
ところが本当は、その米国の陰に隠れて日本は相当いろんなことをやっています。
今回のNSCに関しては、
「日米協力があるから何もできないんだ」っていう米国に対するあきらめ感の陰で、
実は日本が主体的に先制攻撃までできるようなことをやろうとしているんです。
 
福島 確かに対米従属と言うと、
TPPも全部説明したような気になって、
問題の複雑さを隠してしまう面があるかもしれないですね。
 
佐藤 そうなんです。
対米従属論は共産党のお家芸です。
リベラル左派陣営のなかで、
共産党と社民党の違いは、
社民党は単純な対米従属論に立たないというところですよ。
そこが社民党の大きな価値だと思います。「自分の頭で考える」という、
戦前の労農派マルクス主義からの伝統だと思うんです。
何かの権威とかステレオタイプで繰り返すということではなくてね。
 
福島 はい。その立場でがんばっていきたいと思います。
長時間ありがとうございました
佐藤 ありがとうございました。
(おわり) ≫(週刊金曜日ニュースより抜


 
 
 

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