途中
自民党が、衆参両院に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関して集中審議する特別委員会設置を嫌がっているという。
TPP参加は、日本の全産業にかかわる大転換を迫るものであるので、
一般国民を含めて、国民の大半が、
「交渉の成り行き」に息を殺して注視している重要案件にもかかわらず、
安倍晋三政権は、
具体的な情報を一切公表しようとしていない。
というよりは、
日本の交渉団(100人)がTPP交渉に先行して参加している11か国から、
「交渉内容を絶対に外部に漏らしてはならない」という守秘義務を課せられたうえに、
「秘密を守る」という宣誓書に署名までさせられているからである。
だから、自民党としては、
特別委員会を設置して、与野党各党から、質問を受けても、安倍晋三はじめ関係閣僚が、
答弁できることが限られているので、まともな質疑にはならないと考えている。
それどころか、安倍晋三政権は
8月22日からブルネイで行われる第19回目の会合でも、「とくに主張しない」と意味不明なことを表明している。それは、一体どういう戦略なのか?
「TPPの交渉会合で、日本政府が参加各国に示す最初の関税撤廃案が18日、明らかになった。
関税をなくす品目数の割合を示す『貿易自由化率』は最大で85%程度とする一方、
関税を守りたいコメなどの農産品は、
態度を明らかにしない『留保』とする」と
朝日新聞が8月19日付け朝刊「1面」で報じている。
これは、「コメ、牛・豚肉、乳製品、麦、砂糖の原料の『重要5項目』(586品目)」=「6.5%」といういわゆる聖域を守るための作戦のように受け取れる。
だが、この記事は、外務省が
「最終的な自由化率は『96%以上になる』」
と言っているのは、極めて困難な状況を暗示している。
つまり、外務省は、TPP交渉のなかで「農業」について、ほとんどが合意済みになっていることを承知しており、守秘義務ギリギリのところで、これからの交渉の絶望的な結果を漏らしているのである。
つまり、外務省は、TPP交渉のなかで「農業」について、ほとんどが合意済みになっていることを承知しており、守秘義務ギリギリのところで、これからの交渉の絶望的な結果を漏らしているのである。
要するに、自民党は、
大票田であるJAなどの農業団体に対して、
「聖域は守る」と約束して、
参院議員選挙を戦ってきた手前、
「約束を果たそう」と懸命に努力している姿を示さなくてはならない極めて苦しい追い詰められた状況に立たされている。
しかし、安倍晋三総理、石破茂幹事長、甘利明経済産業相ら首脳陣は、おそらくは
「聖域を守ることは絶望的だ」
とすでに察知しているはずである。
それどころか、TPP参加が、
いまや日本にとっては、至上命令であり、
しかも「例外なき関税ゼロ」を絶対に受け入れなくてはならないにことも十分に承知している。
それは、世界支配層(主要ファミリー)が、
完全自由な貿易体制を築こうとしているからであり、これに逆らうことはできないからである。
貿易のルールは、「国際標準」に統一され、具体的なビジネスの方法もIT化により「統一」される。
つまり、ネットで交わされる文書は、すべて「英語」で行われ、契約書や認証方式なども統一される。
「英語」と「ネット」を駆使できない者は、これからの世界、社会では生きていけなくなるのだ。
◆だが、安倍晋三政権は、「英語」と「ネット」について、これが「国際標準」に対応するのに必要不可欠であるという言い方をしていない。
あくまでも、「戦後教育の見直し」の一環である「教育改革」のなかに位置付けて力説しているにすぎない。
だから、本来は、TPP参加と教育改革は、一体になって連動しているにもかかわらず、
国民の多くは、その意味と意義を十分に理解しているとは言えないのである。
従って、たとえば、農業について言えば、
マスメディアが、最近「パソコンとインターネット」を駆使した農業「スマートアグリ」について相次いで放映されているのは、これからの日本の農業のあり方について新しい方向に誘導しようとする意図が感じられる。
NHKが5月20日午後7時30分から8時の「クローズアップ現代」で、「オランダの『農業革命』スマートアグリに学ぶ」というタイトルをつけて放映したのが、
代表例である。
もしかしたら、安倍晋三ら首脳陣は、農業団体に「聖域を守る」と言いながら、実は、「聖域はもはや守れない」と覚悟を決めて、努力するフリをしながら、徐々に「スマートアグリ」に代表される「農業革命」に誘導している感がある。
【参考引用】産経新聞msn産経ニュースが8月19日午後3時、「TPP交渉控え会談 甘利氏、米通商代表と」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「甘利明・環太平洋連携協定(TPP)担当相は19日、来日中の米通商代表部(USTR)のフロマン代表と東京都内で会談した。22日にブルネイで開幕するTPP交渉会合をめぐり意見交換。会談は米側の希望で実現。甘利氏とフロマン氏は、交渉会合に合わせて22~23日にブルネイで開かれるTPP閣僚会合に出席し、それぞれ米国、日本以外の各国と2国間の会談も行う。TPP交渉参加の12カ国は、10月の基本合意と年内の妥結を目標に掲げている。甘利氏は会談後、記者団の取材に応じ『2013年中の妥結のために、日米両国が作業を加速することを確認した』と語った」
朝日新聞DIGITALが8月19日午前5時34分、「関税撤廃品目、最大85% 政府、TPP交渉で提示へ」という見出しをつけて、次のように配信した。
「【藤田知也】環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉会合で、日本政府が参加各国に示す最初の関税撤廃案が18日、明らかになった。関税をなくす品目数の割合を示す「貿易自由化率」は最大で85%程度とする一方、関税を守りたいコメなどの農産品は、態度を明らかにしない「留保」とする。
TPP特集ページ
TPPは、太平洋を囲む国々が輸入品にかける関税をなくすなどして、モノやお金が自由に行き来する経済圏をつくる取り組みだ。米国やオーストラリアなど11カ国がすでに交渉に参加しており、日本は今年7月から遅れて加わった。22日からは、ブルネイで日本を含む12カ国が参加する19回目の会合が開かれる。TPP交渉では、どれぐらいの品目について関税を撤廃するのかが焦点だ。交渉のさいに、各国は、関税撤廃案をつくり、自国の貿易品目のうち、関税をなくす品目を列挙する。関税をなくす品目の割合を示す「自由化率」は、貿易自由化に向けた各国の姿勢を示す重要な数字だ。TPP交渉では関税の引き下げ交渉は主に2国間で進められている。
日本は交渉に参加するほかの11カ国それぞれと撤廃案を互いに見せ合い、交渉を進める。
関税をなくす品目や自由化率は、相手国によって変えることができる」
TPP交渉の年内妥結を米国に約束した
茂木大臣の対米従属振り
8月19日の各紙が一斉に報じている。
8月19日の各紙が一斉に報じている。
茂木経済産業大臣は来日中のフロマン米通商代表といち早く会談し、 TPP交渉の年内妥結に向けて日米で協力することで一致したと。
これはとんでもない越権行為であり、とんでもない対米従属的な発言だ。
TPP交渉の年内妥結が困難な事はすでにマレーシアやシンガポールの代表が繰り返し口にし、それらが報じられてきた。
これは日本が交渉に参加する前から明らかになっていたことだ。
すなわちTPP交渉は日本が入る前から、各国の利害が対立して合意が遅れていたのである。
そしてTPP交渉の停滞は、遅れて参加した日本にとって決して悪い話ではない。
これまで参加国が積み重ねてきた協定の中身を精査し、国内対策を練る時間をかせげるからだ。
おまけに日本国内にいまだ根強いTPP反対論がある。
TPP交渉が遅れ、そのうちその他の地域貿易交渉も本格化するようになれば、やがてTPPの必要性が薄れていって自然消滅することさえありうるのだ。
もちろん日本が年内妥結は困難だと率先して言うべきではない。
ただでさえ交渉の遅れを「閉鎖的な日本のせいだ」と言われかねない。
だから年内交渉の妥結に日本も最大限の努力をするとリップサービスしておけばいいのだ。
その裏で粘り強く国益追及の交渉をすればいいのだ。
ところが茂木敏光経済産業大臣は来日中のフロマン米通商代表といち早く会談しTPPの年内妥結に向けて米国と協力しますと約束した。
茂木経済産業大臣のどこにそのような発言ができる権限があるというのか。
そもそも経済産業省が所管している産業はいち早く関税を自由化した産業ばかりだ。
経済産業省は財界と一緒になって関税自由化を進める立場の省庁だ。
しかしTPP交渉には農産品など保護すべき分野も多い。
そしてそれら品目の所管省庁は農水省など各省に及ぶ。
そもそもTPPの年内妥結を急いでいるのは米国だけだ。
来年の中間選挙に向けて、オバマ大統領は国内的に実績を作りたいのだ。
他の参加国にとっては急ぐ必要はない。
急ぐあまり国益を害してまで譲歩する必要はないのだ。
そして、それは日本にとっても同じである。
そして、それは日本にとっても同じである。
あくまでも国益追求を第一にし、
国益が守られるまでTPP交渉を粘り強く続ければいいのだ。
それはわが国がこれまでの自由貿易交渉でやって来たことだ。
茂木大臣も甘利大臣も、
そしてそれらを主要閣僚にしている安倍も、
はじめから国益追求より米国迎合を優先しているということである。
とんでもない売国政権である
とんでもない売国政権である
菅官房長官とフロマンUSTR代表の会談。
フロマンの隣にはカトラーが、
菅官房長官の隣には鶴岡TPP首席交渉官、その隣には森建良日米並行協議首席代表が座っている⇒http://twitpic.com/d9662e
USTRのフロマン代表は都内で記者会見
TPP交渉の焦点である農産品や工業品の関税撤廃をめぐり、
ブルネイ会合では日本との2国間協議を見送る方針を示した。
米側の事情で、日本に対して関税の提案をする時期が9月にずれ込むため。
『TPP黒い条約』の著者のひとりである東谷暁。
日本郵政とアフラックの提携について、
USTRのカトラーの名を挙げながら
「完全に圧力の下でやられている」
と断言。
安倍総理には責任をとって辞めてほしいと言いたいと東谷⇒http://twitpic.com/d967ev
『TPP 黒い条約』東谷暁&施光恒ライブトーク(2013年8月8日)はこちらで視聴できる⇒http://bit.ly/1ajOCG7
岸田外相とフロマンUSTR代表の会談。
同席したのは、
片上経済局長、
森建良日米並行協議首席代表。
米国側はカトラーが同席⇒http://bit.ly/1dlDXdP
ブルネイで開催される第19回TPP交渉会合に向けて、
日本の交渉団は20日未明に出発。
今回、日本の交渉団は120人規模。
フロマンUSTR代表が会談した閣僚は、
茂木経産相、
菅官房長官、
甘利TPP担当相、
岸田外相。
林芳正農相=フロマン会談の報道はいま現在なく、
今夕、フロマンは記者会見を済ませた。
米国からすると、農水省に行く必要性はないとの判断か、
あるいは、TPPが農業問題(だけ)ではないことの現れか。
TPP「ブルネイでも、俺様は人気者」。
RCEP「TPPばかりでなくこっちも注目してくれ」。http://bit.ly/14tZD0c
TPP交渉会合が開かれるブルネイには
国民会議のメンバーとして
山崎摩耶
三宅雪子
※他に行く人⇒http://bit.ly/16W3MMJ
なぜ宗主国は迫るのか
米畜牛の肉体的異常、
成長促進剤が原因か(WSJ)⇒http://on.wsj.com/14Ov5Wk
「米国の精肉工場に解体用に運ばれてくる畜牛の中に
最近、異常な個体が増えている」。